バレンシア FAQ

ファジャス 初歩

 ファジャス(Las Fallas)は、「ラス・ファリャス」、「ファーリャス」、「サン・ホセの火祭り」とも呼ばれます。ファジャスの語源は、松明(たいまつ)を意味するラテン語にあるのだとか(関俊行編「世界歴史の旅 スペイン」山川出版社、2002年、ISBN:4634632802)。サン・ホセ(San José)とは聖ヨセフ、つまりイエス=キリストの父のことです。3月19日は、この人物を祝う日。職業は大工さんだったことから家具職人の間で信仰の対象となっており、彼らが張りぼての人形を作って燃やしたのがファジャスの始まりだそうな。多数の人形が作られますが、ただ1つを残し祭りの最終日(19日の夜)にすべて燃やされます。投票で1位になったものが、火祭り博物館(Museo Fallero)に収められるのです。ファジャスはスペイン3大祭りの1つで、春の到来を告げるものです。

 ちなみにスペインには聖家族信仰というものがあります。これは、イエス=キリストと聖母マリアは信仰されているのに夫ヨセフがのけ者になっているのはかわいそうなので、家族3人まとめてお祈りしようというもの。家庭を大切にするスペインらしい発想から生じています。いまやバルセロナの象徴となったサグラダ・ファミリア(Temple de la Sagrada Familia)は「聖家族」という意味で、聖ヨセフ信仰を広める教会になる予定です。1882年から建設が始まったものの、完成まであと数百年とか言われていますが……

ファジャス 入門

 まず、ファジャスについての誤解を解いておきましょう。『地球の歩き方 バルセロナ '02-'03』には、次のような解説があります。

 「祭りのクライマックスは19日の夜」
 「オスタルやペンシオンなどの安宿は空いている可能性が高い」

 この情報をもとに、のこのこやってくると悲惨な目に会います。3月19日の宿泊は、数か月前から壮絶なまでの予約の取り合いがなされています。1月の時点で、スペイン語が堪能な在留邦人が電話をかけまくっても空きが見つからなかったという話を聞きました。予約を取っていないなら、野宿する覚悟が必要をしてきてください。数十km圏内の田舎町にも、ことごとく押さえられています。それ以前に、バレンシアへ辿り着けるかという問題もあります。スペイン国鉄(Renfe)のバルセロナ - バレンシア線ユーロメッド(Euromed)は、すぐに埋まってしまいます。

 もし3月19日にバレンシアへ来るつもりなら、前年の内に宿と交通の手配を済ませておかなくてはいけません!  

 筆者がここでお薦めするのは、一足早く火祭りを楽しんでしまう方法です。ファジャスが終わるのは19日ですが、15日にはすでに人形が配置されています。設置作業でしたら、13日から始まっています。そこで、3月14日から18日にかけてバレンシアへいらしてはどうでしょう? いちばん最後の火を点ける場面(クレマ)だけを見逃してしまうことになりますが、それ以外はすべて楽しむことができます。クレマは、スペイン国営放送TVEでも生中継されますので、他都市のホテルでテレビを見ながら 「あぁ、あの人形が燃えているのか」 という楽しみ方をお薦めします。

 むしろ、最終日に到着するとイベントの幾つかは終了しているので見られません。15日までの人形コンテストと、17日と18日のオフレンダ(献花)です。特に人形コンテストは、参加してみることをお薦めします。というのも、コンテストに出品された作品は15日の深夜に各地へと搬出され、散らばってしまいます。市内数百箇所をめぐって見て回るのは、まず不可能です。コンテスト会場で一堂に会しているうちに見ておくと、エッセンスを味わうことができるのです。そして、気に入った作家の作品が配置されている会場をガイドブックで探して見に行くというのがいいでしょう。

ファジャス 中級

 ファジャスがどの程度の規模なのか、ガイドブック “el turista fallero” から拾いだしてみましょう(7.5ユーロ)。2004年の場合、総数377体で、製作費用の合計は 5,929,583ユーロ。小さなものも含めると、7,300,811ユーロ(10億751万円)を費やしているのだとか。ちなみに最も高額なものになると、1体で 270,475ユーロ(3,650万円)かかっているようです。

 金をかければいいというものではないでしょうが、やはりコストのかかっているものは大きく見ごたえがあります。96,000ユーロ以上を注ぎ込んだは、スペシャル・セクション(Sección Especial)となっており、人形作家が優勝を目指してしのぎを削っています。特にこだわりがなければ、この豪華な14体を見て回ることを目標にしてみてください。不案内な人が街の外側にあるものを見にいこうとするとタクシーを使わざるをえないのですが、それだけの価値はあると思いますよ。ガイドブックを持っていき、見に行きたい頁を運転手に示せば連れて行ってくれます。市内の移動であれば、運賃は高くても10ユーロくらいです。

 なお、力作の配置場所は、例年同じです。というのも、地元町内会が製作費用を出しているからなのだとか。なんと、ウェブサイトを持っているグループもかなりありました。

  1. www.najordana.es
  2. www.lamerce.net
  3. www.fallajerusalen.com
  4. www.falladelpilar.com
  5. www.fallas.com/fallaexposicion
  6. www.falla-cuba-litazorin.com
  7. www.fallabenicalap.com
  8. www.fallamalvarrosa.com
  9. www.falladelreino.es.org
  10. www.fallas.com/fallalantiga.es.org

 ファジャス 応用

 ファジャスは火祭りなのですが、そのせいか祭りの期間中は火遊びが流行ります。めいめいが歩きながら爆竹(petardo)を放り投げます。子供だと人垣に向かって投げつけたりします。爆竹の破片が目に入って病院へ行ったという人が、毎年1,000人を超えます。至近距離でやられると、鼓膜がびりびりと傷みます。はっきり言って危険この上ありません。禁止しないのかと思われるでしょうが、パンプローナ(ナバーラ州)では牛に突かれて死ぬ人が出ても祭りをやめないくらいですから(^^;) 自衛のために眼鏡サングラスは必携です。

 日本の祭りに法被(はっぴ)があるように、ファジャスにも祭りの衣装があります。紺色&白の格子縞のバンダナ。これで襟元を飾ると、お祭り気分に染まれること請け合い。刺繍入りのものなら、バレンシア土産にもなります。お土産屋さんにて、2〜3ユーロ程度で入手できます。

 ブニューロ チューロ

 スリ


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